本の詳細
「生活者のための総合雑誌」として、今号よりリニューアル。
非常事態が日常となった今、「正しい道」ではなく、「息のしやすそうな道」を見つけるために。
土井善晴、藤原辰史、松村圭一郎、益田ミリ、町屋良平ほか、豪華ラインナップでお届けします。
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非常時代を明るく生きる
終わらない梅雨、四〇度を超える猛暑、残暑なく突入した秋。人との接触を限りなくおさえなければいけない日々。
二〇三五年には北極圏の氷が溶けると最新の科学レポートは告げ、新型コロナウイルスによる死者は全世界で一〇〇万人超えました。
気候変動も、感染症も、人類が一度も経験したことのないスケールで起きています。必然、私たちの生き方も大きく変えざるをえません。
そうした視点に立てば、今私たちが生きているのは、コロナの終息いかんにかかわらず、すでに非常時代、と言えるのではないでしょうか。すくなくとも、非常時代なのだと最初から思っておくほうがいい。どんなにあがいても、悲しんでも、気候変動はノンストップですし、新たな感染症はまたやってくるにちがいなく、自国に目を向ければ、生活苦は重くなるばかり……。
安定した時代よ、もう一度。と嘆いたところで現実はすぐには変わらないわけで、それならいっそ日々を明るく生きよう。明るく生きてさえいれば、この時代を乗りきる知恵やアイデアが湧いてくるでしょうし、多様な生物と共生していく感性も高まってくるかもしれない。
そんな思いをこめて、本号を企画しました。
非常時代を生きる。非常時代を明るく生きる。
そう腹をくくってしまえば、あとは、やることがはっきり見えてきます。
どこに住んでいようと、何歳であろうと、どんな属性に区分されようと、あらゆる人たちが生活者であることだけは免れないはずです。生活者として日々を生きる。明るく生きる。複雑な事象を暴力的にわかりやすくしたりせず、しっかり粘り強く、考えつづけていく。本誌が皆さんのそうした日々のそばにあることを願ってやみません。――本誌編集長 三島邦弘
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ちゃぶ台とは?
何を載せてもいい。誰と食べてもいい。食卓にもなれば、談話の場にもなる。それを囲むだけで、ふしぎと緩やかなつながりが生まれる。ときには囲む必要さえない。ただそこにあるだけで、場が和んだり、無用な対立を解消する。
ちゃぶ台という物体が、期せずして、そんなさまざまな機能をあわせもつように、本誌もまた、年齢、性別、属性といった記号を越えて、あらゆる世代のあらゆる生活者に届く雑誌でありたいです。
「自分たちの生活 自分たちの時代を 自分たちの手でつくる」。創刊以来、その手がかかりを、「移住」「会社」「地元」「発酵」「アナキズム」などさまざまな切り口から探ってきました。六号目となる本号より、「生活者のための総合雑誌」をあらためて掲げ、デザインもリニューアルしました。日々の生活のちょっとした支えに、楽しみに、そして柔らかな強さに――。そうした思いをこめて、半年に一度、発刊してまいります。――ちゃぶ台編集部より
目次
益田ミリ のび太と遊んだ空き地
土井善晴 地球とAIと人間
藤原辰史×松村圭一郎 分解とアナキズム
町屋良平 猫の顎のしたの三角のスペース
中村明珍 土と子と木と水と火、形が似てる
齋藤陽道 時間が残った
平川克美 止むを得ず贈与経済。 変わるものと、変わらないもの、変えられるものと、変えられないものについて
渡邉麻里子(タルマーリー) なるべくお金を払うようにしたい
猪瀬浩平 さびしい社会、にぎやかな世界
前田エマ 習字のこと
高橋久美子 約束/夜の手紙
中田兼介 いきものを見る目 サマースクールを終えて
木村俊介 「文藝」編集長・坂上陽子さんインタビュー
榎本俊二 ギャグマンガ家山陰移住ストーリーPRRT5
春日太一 時代劇聖地巡礼は突然に
内田健太郎 暮らしと浄土 JODO & LIFE
松村圭一郎 国家なき社会の政治リーダー考――はじめてのアナキズム(2)