ちゃぶ台14 特集:お金、闇夜で元気にまわる
生活者のための総合雑誌

ちゃぶ台14 特集:お金、闇夜で元気にまわる

ミシマ社
  • 定価 1,800 円+税
  • 判型四六判変形
  • 頁数158 ページ
  • 発刊2025年12月16日
  • ISBN9784911226278
  • Cコード0030
  • 装丁漆原悠一(tento)
取扱書店 一冊!取引所

本の詳細

*** 12/11(木)リアル書店先行発売! ***

日経株価が最高値になっても、物価高・米不足は起き、暮らしの経済は疲弊――
生活者が生き生きする、別の「お金のまわし方」が、「闇夜」=ちいさな経済圏に広がっているのでは
これを探るため、創刊10周年を迎えた今号はW特集を掲げます!

特集① お金、闇夜で元気にまわる
・書店と出版社が組み、限界を超えたイベント
「ちゃぶ台フェスティバル@ウィー東城店」徹底レポート!
目撃者・松村圭一郎(論考)「なんのための『経済』なのか?」
主催者・佐藤友則(インタビュー)「経営の発想の転換で本屋さんをくすぐっていく」

・湯澤規子(随筆)「テーマの火は闇夜に灯る」
・高橋久美子(エッセイ)「土の近くでまわる、お金のはなし」
・土井善晴(随筆)「料理とお金」
・平川克美(論考)「隠居ジジイの家計簿」

特集② 十年後の移住のすすめ
・本誌創刊号「移住のすすめ」を読み、本当に周防大島に移住した若者が寄稿
垂井綾乃「周防大島に吹く風に身を任せていたら」
・移住先輩世代が周防大島の「今」を証言
内田健太郎(エッセイ)「鯖とヘソ娘」
中村明珍(コメント)「十年後の移住のすすめ」

●巻頭漫画:益田ミリ「今日の人生 出張版」

装画:平澤一平

*特集に寄せて(巻頭文)
「特集:三十年後」とした前号(一三号)は、制作途中で刊行ペースを年二回から一回に減らすことを決定しての延期。結果的に一二号から約一年後の発刊となった。そのため、今号が、年一回刊行に戻して最初の号となる。
 この一年をふりかえると、世相の暗さがつきまとう。時代のせいにしない。創刊時よりこの姿勢を貫く『ちゃぶ台』は、どんな環境であっても「希望」を見出すようにしてきた。そんな本誌でさえ、「暗い」と感じざるをえない一年であった。その最たる現象が、令和の米騒動と言われる米不足ではなかろうか。実際、私が住む京都の街中では、お米の姿が消えた。スーパー、お米屋さん、どこを探しても、ない。
 かつてこの国では、現在における税金を年貢と呼び、資産は米の取れ高である石単位ではかられた。「お金」の役割を果たした米。お米が手に入らない状態は、お金がない事態と同等の不安を起こす。
 騒動からひと月が経とうかという頃、お米はある、と報道された。備蓄米は大量にある、と。だが、その備蓄米も開放量に比べて流通量が圧倒的にすくない。なかなか消費者には届かなかった。ものはあるのに、欲しい人のもとには届かない。不景気と言われる経済下で、お金はある人のところにはある、そう言われている構造に似ていると思った。
 ああ、今、お金は元気をなくしているんだな。まわってなんぼ、のものが、気持ちよく循環していないのだ。
 そうした直感のもと、「お金、闇夜で元気にまわる」を特集テーマに決めた。闇夜は「ちいさな経済圏」と言い換えていい。地球沸騰化が進む真夏、私たちは自然と、太陽が沈む時間にゆったり活動を始めるようになった。お金も、直射日光下(大きな経済圏)では動きを鈍くせざるをえないが、闇夜では案外、元気にまわっているのでは? もちろん、あくまでも主体はお金のほう。人間がお金をまわすという人間中心主義ではなく、お金をとりまく人、ものが、自ずとまわる。自ずとまわるからには主体性があるわけで、元気にもなる。
 そんな仮説のもと、じっくり時間をかけて編んだ本号。進めるうちに、新たな経済の流れのかたちが見えてきた気さえしている。少なくとも私には、ビシビシと。それが、世界経済の新たな潮流になるかどうかはわからない。が、読者の皆さんと共有できれば、いつかそんなことになるかも、と期待する。今号を通じて、何かに気づいたり、何かを発見していただければ、この上なくうれしいです。
――本誌編集長 三島邦弘

目次

●巻頭 益田ミリ「今日の人生 出張版」(漫画) ●特集1 お金、闇夜で元気にまわる レポート「ちゃぶ台フェスティバルとは何だったのか?」 松村圭一郎×佐藤友則×三島邦弘(鼎談)「お金、闇夜で元気にまわる」 佐藤友則(インタビュー)「経営の発想の転換で本屋さんをくすぐっていく」 松村圭一郎(論考)「なんのための「経済」なのか?」 湯澤規子(随筆)「テーマの火は闇夜に灯る」 高橋久美子(エッセイ)「土の近くでまわる、お金のはなし」 土井善晴(随筆)「料理とお金」 平川克美(論考)「隠居ジジイの家計簿」 ●特集2 十年後の移住のすすめ 垂井綾乃(エッセイ)「周防大島に吹く風に身を任せていたら」 内田健太郎(エッセイ)「鯖とヘソ娘」 中村明珍(コメント)「十年後の移住のすすめ」 ●連載 斉藤倫(児童文学)「窓」 益田ミリ・平澤一平(漫画)「三者会談」 藤原辰史(論考)「愚民論」 齋藤陽道(フォトエッセイ)「お金、内臓のごとく。」 榎本俊二(漫画)「ギャグマンガ家山陰移住ストーリー PART13」 書店、再び共有地(レポート)   OH! MY BOOKS〈東京・幡ヶ谷〉   古本屋 弐拾dB〈広島・尾道〉 三島邦弘(ブックレビュー) 編集後記

著者情報

編: ミシマ社()

ミシマ社は、「原点回帰の出版社」として2006年10月に創業。東京・自由が丘、京都府京都市の二拠点で、「一冊入魂」の出版活動を展開中。取次店などを介さない「直取引」という営業スタイルで「一冊」を全国の書店に卸している。

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