著: 伊藤亜紗(イトウアサ)
東京工業大学科学技術創成研究院未来の人類研究センター長、リベラルアーツ研究教育院教授。マサチューセッツ工科大学(MIT)客員研究員。専門は美学、現代アート。東京大学大学院人文社会系研究科美学芸術学専門分野博士課程修了(文学博士)。主な著作に『ヴァレリー 芸術と身体の哲学』『目の見えない人は世界をどう見ているのか』『どもる体』『記憶する体』『手の倫理』など多数。
ぼけは、病気ではない。
自分と社会を開くトリガーだ――
ここを出発点に始まった、美学者と「宅老所よりあい」代表の往復書簡。その到着点は…?
二人の「タマシイのマジ」が響き合った、圧巻の36通。
自分のしたことが本当の意味で相手のためになる、というのは、おそらく私たちが思うよりもずっと不思議で、想定外に満ちた出来事なのでしょう。ほとんど、奇跡だと言ってもいい。――伊藤(はじめに)
お年寄りたちは、思想信条に依らないアナキズムと、人格や宗教に依らない許しを発揮し、場をつくり始めると言えるでしょう。そのように時折シンクロします。大方は揉めながらバラバラのままに一緒にいる。いるしかない。なんか、まじめで滑稽でしょ。好きなんです。――村瀨(3通目)
第1章 どうしたら一緒にいることができるのか? 2020年秋 第2章 人と言葉をケアする居場所としての「しゃべり」 2020〜2021年冬 第3章 共感でも反感でもない、ぼ〜っとする 2021年春 第4章 変化は「戸惑いと待ちの溜まり場」で起こる 2021年夏 第5章 深まるぼけがもたらす解放と利他 2021年秋 第6章 心とシンクロしない体を生きる 2021〜2022年冬 第7章 生身の痕跡を手紙に残す 2022年春