ビボう六
2刷
ちいさいミシマ社

ビボう六

佐藤ゆき乃
  • 定価 1,800 円+税
  • 判型四六判並製
  • 頁数160 ページ
  • 発刊2023年11月23日
  • ISBN9784909394958
  • Cコード0093
  • 装丁名久井直子
取扱書店 一冊!取引所

本の詳細

*** 11/17(金)リアル書店先行発売! ***

【第3回京都文学賞受賞作】

怪獣だって恋したい――。

現実に絶望する小日向さんと、千年を生きるゴンス。
「夜の京都」で出会ってしまった二人の運命の行方は?
儚くも、淡い希望が揺れては浮かぶ、新世代のファンタジー。

***
ビボう一、ぢブん から あい札 お スル こと
ビボう二、☺︎ が 大じ
……六つ目の、忘れたくないことは?
***

切なくて、ちょっとほろ苦くて、優しい物語。
京都にこんな優しい夜があるなんて知らなかった。
四角い闇は時に丸く、傷ついて疲れた心をつつみ込む。
「ビボう六」をわたしも作ろう。
――大垣書店イオンモールKYOTO店・辻󠄀香月 

●あらすじ
肉親からの暴力や容姿のコンプレックス、叶わない恋に苦しみ、生きるのが辛い小日向。彼女は、「夜の京都」に落下し、これまでの記憶を失った。そこで出会ったのは、土蜘蛛の怪獣ゴンス。物忘れが激しいため、「ビボう六」という帳面を持ち歩き、忘れたくないことを書き留めているのだった。ゴンスは、小日向が元の世界に戻れるよう手助けするうち、恋心をどんどん募らせてゆく――。

装画:西村ツチカ

著者情報

著: 佐藤ゆき乃(サトウ ユキノ)

1998年生まれ。岩手県二戸市出身、滝沢市在住。2017年に立命館大学文学部に進学し、在学中は京都市内で過ごす。2022年に、本作(原題「備忘六」)で第3回京都文学賞受賞(一般部門最優秀賞)。2023年に、「ながれる」で岩手・宮城・福島MIRAI文学賞受賞。

関連ニュース

_

◆大垣書店限定特典! 『ビボう六』をもっと楽しむための散歩のしおり

第3回京都文学賞受賞作で、京都を舞台にした新世代のファンタジー『ビボう六』が11/17(金)にリアル書店先行発売日を迎えます。発刊を記念して、京都を中心としたチェーン書店である大垣書店さん限定の特典ペーパーをご用意いたしました!

特典ペーパー「『ビボう六』をもっと楽しむための散歩のしおり」内容

・佐藤ゆき乃特別書き下ろしエッセイ「夢と現実のあわい」
・ゴンスと小日向さんの京都お散歩マップ…『ビボう六』の舞台となった場所を実際に聖地巡礼できるマップです。

特典ペーパー付き展開店舗

<北海道>
・大垣書店 マルヤマクラス店【北海道】

<関東>
・ブックスタマ 小作店【東京都】
・ブックスタマ 東大和店【東京都】
・大垣書店 麻布台ヒルズ店【東京都】
・ブックスタマ 所沢店【埼玉県】

<中部・東海>
・大垣書店 イオンモール富士宮店【静岡県】
・大垣書店 岐阜髙島屋店【岐阜県】

<関西>
・大垣書店 亀岡店【京都府】
・大垣書店 イオンモール北大路店【京都府】
・大垣書店 高島屋店【京都府】
・大垣書店 醍醐店【京都府】
・大垣書店 伏見店【京都府】
・大垣書店 京都ファミリー店【京都府】
・大垣書店 烏丸三条店【京都府】
・大垣書店 イオンモール京都五条店【京都府】
・大垣書店 二条駅店【京都府】
・大垣書店 佛教大学店【京都府】
・大垣書店 イオンモールKYOTO店【京都府】
・大垣書店 京都ヨドバシ店【京都府】
・ブックパル文苑 山科店【京都府】
・大垣書店 高野店【京都府】
・ブックパル文苑 桂南店【京都府】
・大垣書店 イオンモール京都桂川店【京都府】
・ブックパル五条店【京都府】
・大垣書店 Kotochika御池店【京都府】
・大垣書店 京都本店【京都府】
・大垣書店 京都ポルタ店【京都府】
・大垣書店 イオン洛南店【京都府】
・大垣書店 堀川新文化ビルヂング店【京都府】
・大垣書店 フォレオ大津一里山店【滋賀県】
・大垣書店 高槻店【大阪府】
・大垣書店 豊中緑丘店【大阪府】
・大垣書店 イオンモール堺鉄砲町店【大阪府】
・大垣書店 神戸ハーバーランドumie店【兵庫県】
・大垣書店 プリコ神戸店【兵庫県】

<中国>
・大垣書店 ジ アウトレット広島店【広島県】

◆直筆サイン本展開店

11/17(金)のリアル書店先行発売に合わせて、下記店舗にて販売いたします。

※サイン本は数に限りがございます。在庫がなくなり次第、販売終了となります。
※店舗により、入荷・販売開始のタイミングが多少前後する可能性がございます。
 最新の在庫・販売状況は各店舗へ直接お問い合わせください。
※原則、お取り置き、代引き発送はございません。ご了承ください。

<東北>
・MORIOKA TSUTAYA【岩手県】
・ブックスアメリカン 北上店【岩手県】
・さわや書店 フェザン店【岩手県】
・エムズエクスポ盛岡店 書籍部【岩手県】
・東山堂 肴町本店【岩手県】
・東山堂 イオン盛岡南店【岩手県】
・東山堂 イオンモール前潟盛岡店【岩手県】
・東山堂 北上店【岩手県】
・東山堂 川徳店【岩手県】
・東山堂 都南店【岩手県】

<関東>
・紀伊國屋書店 新宿本店【東京都】

<東海>
・丸善 名古屋本店【愛知県】
・三省堂書店 名古屋本店【愛知県】

<関西>
・くまざわ書店 四条烏丸店【京都府】
・立命館生活協同組合 ブックセンターふらっと【京都府】
・立命館生活協同組合 びわこ・くさつキャンパス リンクショップ【滋賀県】
・立命館生活協同組合 大阪いばらきキャンパス OIC Shop【大阪府】
・「本」のお店 スタントン【大阪府】
・ジュンク堂書店 姫路店【兵庫県】

<山陰>
・今井書店 グループセンター店【島根県】

<九州>
・六本松 蔦屋書店【福岡県】

◆書店員さんのご感想

発刊前からゲラを読んでくださった書店員さんから、たくさんの熱いご感想をいただきました!

心の中にある宝箱に、壊れないようにそっと大切にしまっておきたい物語。
誰かに恋をしたときの傷みも、それに伴う一瞬のきらめきもすべてここに詰まっている。
痛くてつらくて悲しいときは、この京都で生きた不器用な怪獣のことを思い出そう。
そうすればきっと、永い夜もひとりで越えることができるから。

とにかく文章が美しく、流れるようでありながらいつまでも心に残り続けるような言葉に魅了されつづけた。
とくに「朝がくるのが怖いから、夜に泣き出す不気味な怪獣」という一文がとても好き。
朝がくるのが怖いと思ったことがある人にしか、この作品の良さは分からないかもしれない。
それでもそういう人たちに届くべきだと思った。
小日向さんが、あなたと同じ苦しみを抱えていること、同じように考えている人がいること、
ひとりじゃないことに気が付いてほしい。
喫茶ソワレの描写がとてつもなく美しく、ゼリーポンチに関して言えば
あれ以上の表現は金輪際きっとない。喫茶ソワレの人がめちゃくちゃ喜んでそう。
宝石のようなゼリーを食べながら、宝石のような恋を見つけたゴンス。
その対比が素晴らしくよかった。

京都で勤める書店員として、長く売っていきたい。

ーーくまざわ書店四条烏丸店 山中津加紗さん
昼の京都で苦悩しながら生きるひなたとメタバースにいる小日向のファンタジー。
ラノベでも描かれるような異世界なのに生き方を指南するような古典文学を読むような凛とした空気感と夜の京都の静謐さが伝わって行と行の間から映像が浮かび上がる美しい作品でした。

ーー水嶋書房くずはモール店 和田章子さん
昼の世界が是とするものになじめない、ひなたの苦しみに、まるで心当たりがないという人は少ないんじゃないでしょうか。
夜の京都が幻想的で美しく、ゴンスの恋が純粋であるほど、夜はまぶしく、昼は暗く見えてきます。
自分のために生きることがむずかしくない世界に怪獣たちが飛んで行けたらいいと思います。

ーージュンク堂書店高松店 森さん
切なくて、ちょっとほろ苦くて、優しい物語。
京都にこんな優しい夜があるなんて知らなかった。
四角い闇は時に丸く、傷ついて疲れた心をつつみ込む。
「ビボう六」をわたしも作ろう。

ーー大垣書店イオンモールKYOTO店 辻香月さん
古典と京都と妖怪ファンタジーに恋。
とても瑞々しく引き込まれる世界観。
登場する場所は全て馴染みのある場所でしたが、とても新鮮に映り不思議な感覚でした。
次回作も楽しみです!

ーー大垣書店イオンモール京都桂川店 文芸書担当者さん
エイザノンチユゴンスって何?! というインパクトから始まり、読み進めていくと納得なのかやっぱりどういう事?! な由来があり、どのように物語が進んでいくのだろうと知りたい欲が勝り、どんどん読み込んでしまう。
昼の京都と夜の京都。
小日向さんとゴンスの視点で交互に描かれるそれぞれの世界。
理不尽でどうしようもない昼の京都。
不思議な世界でずっと明けない夜の京都。
ゴンスのビボう六はいったいなんだろうと気になって一気読みしてしまう。
そして「六」という数字に込められた意味を知った時、そういう事か!! と思わず膝を打ってしまった。
リアルとファンタジーが織り交ぜられた魅力的な京都を実際に巡って作品の一欠片を感じたい。

ーー大垣書店豊中緑丘店 大平智明さん
『不思議の国のアリス』京都版。
鵺はいなくなってしまったけれど、その記憶は二条城に碑のように刻まれている。

ーー大垣書店高野店 倉津拓也さん
新しい世界観のファンタジーで、一気に引き込まれました。
小日向の自分自身では自分の輪郭を保てない部分と怪獣の自分のことは自分が良く分かっているという自己肯定感にも近い対比が、とても切なさを感じさせます。
夜の場面が中心ですが、光や色の描写に鮮やかさがあり、別世界が現実世界より魅力的な感覚を持ちました。それにも関わらず、その世界に留まる選択が出来ない、理屈では説明できない感情や価値観が存在するのだなと感じさらに切なさが出ました。
終始切なさを感じ、自分の存在について思いをめぐる、作品でした。

ーー大垣書店ジアウトレット店 石川響子さん
濃紺に膨らむ京都の街で出会ったふたり。
小日向さんに向けるゴンスの眼差しが愛おしい。
ゴンスの胸の中にある宝箱のように、ゴンスたちを見守る私たちの心の中にも温かな光が生まれます。
嬉しいことも悲しいことも、どうしようもない気持ちもすべて、ビボう六に書き留めて。
京都の街で、角を曲がるのが楽しみになりました。

ーー大垣書店烏丸三条店 文芸書担当者さん
優しくない現実と自分自身に絶望している小日向さん。
1000年以上ひとりで生きている土蜘蛛の怪獣なのに生きていることはそれだけで素晴らしいと思えるゴンス。
ふたりが出会ったのは夏のたった数日間、そのあいだに過ごした時間はとてもはかなく、美しくて楽しくて素敵なものであふれていた。
章ごとに小日向さんとゴンスの目線が入れ替わり、ファンタジーであるはずなのに、そこにあるのは現代的な感覚と不変な感情で、両方の立場にどうしようもなく共感してしまう。
ふだん見ている京都の街を、ゴンスのような気持ちで歩いてみたい。京都には角がたくさんあって、素敵なことが起こりやすいらしいので。

ーー大垣書店烏丸三条店 新井祐子さん
読み終えた時、ゴンスの小日向さんへの気持ちが、スーッと心に入ってくるような感じがしました。
また会えることを祈って、角を曲がり歩き続けるゴンスが、会いたい人と会えたら良いな。

ーー大垣書店イオンモール京都五条店 辻中瑞保さん
愛を欲する天使と恋するピュアな怪獣
白いかえるを見つけたとき、二人は心の中にどんな色を灯すのか…

初めて読んだ時、「夜の京都」の世界と現実世界との雰囲気の落差に衝撃を受けました。

小日向と怪獣ゴンスは白いかえるを探すため、ずっと夜が続く不思議な京都を巡る。それに並行して語られる現実世界の小日向の日常。叶わぬ恋。容姿のコンプレックス…誰からも愛されず生きるのが辛い毎日。
辛い現実が続くほど、空想の世界を膨らませていく小日向。そのギャップこそがこの物語の魅力であり、「夜の京都」の世界をより際立たせていると感じました。

夜の二条城から始まり、出店で賑わう天神市、祇園の花火、喫茶ソワレのゼリーキューブ…小日向とゴンスが巡る「夜の京都」の幻想的な風景描写が素晴らしかったです。

キーワードが随所にちりばめられてあり、繰り返し読んで考察したくなる物語でした。

著者の今後の活躍を楽しみにしております。

ーー大垣書店堀川新文化ビルヂング店 新田隼一郎さん
なんて可愛い怪獣なんだ!!!
とってもピュアでまっすぐな怪獣ゴンス。彼の生き方や「ビボう六」に記された言葉に背中を押されました。

ーー大垣書店イオンモール富士宮店 吉野竜也さん
夜の京都に吸いこまれるようにして夢中になって物語を追いました。
終盤、泣きながらページをめくりました。救われたのは、きっと小日向さんだけではないはず。
ゴンスにあえて良かった。

ーー大垣書店高槻店 武田愛子さん
ゴンスが愛しく感じました。一緒に夜を歩いてみたい。
地名が出るたび、その場所を思い浮かべながら読みました。

ーー大垣書店大津一里山店 菅原真由美さん
2つの視点から描かれる、人間と怪物の恋物語。
あまりにも純粋で、清く、儚いストーリーに胸を締め付けられ、
京都の空を見上げて少し泣きました…。
この作品は私の心の「ビボう六」に残しておこうと思います。

ーー大垣書店 Kotochika御池店 今仁真智子さん
冒頭から、鷲掴みにされました。「残っているのは夜のイメージ。どこまでも深く優しい世界の、胸がときめくような静けさ。」胸がときめくような静けさって、どんなのだ…? とじっと考えてしまいました。
夜風の香り、四角い夜の形、ありありと浮かぶ京都の夜が本当に美しかったです。そしてゴンスが小日向を好きになっていく様子、恋に落ちていくその様にいちばん胸が躍りましたね…。誰かにときめくその瞬間、心に広がる色は、水色なんだ、と大感動しました。
小日向には、どうしても感情移入はできなかったです。私が小日向より幸せだからか、「卑屈すぎる! 自分から不幸せになりにいってるやん!」などと、ブチブチ言って読んでいました。読み進めるうちに、「あーでも、せやなー。こんなことあったら、もう全部イヤにはなるわなー」と理解はできたのですが。ただ、全て読み終わったあと、合点がいきました。小日向と自分を重ねて、一緒に救われる物語ではなく、小日向がはじめて愛される物語、好きな人に「ここにいて」と言ってもらう物語なのだから、共感なんていらないんだ。私はいつのまにか自分も救われようと厚かましい読者になってました…。最後ゴンス視点で終わりますが、もう私は「小日向…よかったね、こんなにも愛をくれる人がいたんだよ〜」とめっちゃ泣いてました。小日向は死んでしまったのかどうか、そんなことを考えるのはきっと違って、ただただ今際に誰かから恋しいと思われた一瞬の美しい記録なんだろうなぁ〜と、今もぼーっとしています。電車で読み、駅について思わず上を見てしまいました。夜空を見上げたくなる物語、小日向に語りかけてしまいそうです。ずーっと何行も読み進めて、最後にこのきらめくラスト、ずるい! 好きすぎる!!

ーー丸善高島屋大阪店 宮崎優花さん
自分の知らないどこかで、自分のことを想ってくれている誰かがいるのかもしれないと、『ビボう六』を読んで少しだけ思いました。

ーー丸善アスナル金山店 文芸書担当者さん