ど忘れ書道
『ど忘れ書道』まえがき1
『ど忘れ書道』まえがき2

ど忘れ書道

いとうせいこう
  • 定価 1,600 円+税
  • 判型四六判並製
  • 頁数192 ページ
  • 発刊2020年07月17日
  • ISBN9784909394385
  • Cコード0095
  • 装丁佐藤亜沙美
取扱書店 一冊!取引所

本の詳細

私の崩壊。
その過程をみなさんに目撃していただきたいと思う。
――忘れの天才がしたためた、9年間の怒濤の「ど忘れ」記録。

何の役にも立ちません。by著者


人前でなくて本当によかった。自分一人で考え事をしている最中であった。耄碌という次元を超えていると思った。背中に冷たい汗が流れた。「思い出す」という言葉を思い出せないということに、人格的な崩壊があった。(略)ああ、思い出すだ! と思い出したとき、安堵するより逆に恐くなった。そんな単純な言葉を忘れていたという事実に直面したからだ。もっと難解な言語だったらよかった。想起するとか、アウフヘーベンするとか、失念するとか、アプリオリな何かとか、そういうあれなら。――本文より

◎著者の博識と忘却を補う、怒涛の注釈付き!

著者情報

著: いとうせいこう(いとうせいこう)

1961年生まれ。編集者を経て、作家、クリエイターとして、活字・映像・音楽・テレビ・舞台など、様々な分野で活躍。1988年、小説『ノーライフキング』(河出文庫)で作家デビュー。『ボタニカル・ライフ―植物生活―』(新潮文庫)で第15回講談社エッセイ賞受賞。『想像ラジオ』(河出文庫)で第35回野間文芸新人賞を受賞。近著に『「国境なき医師団」になろう!』(講談社現代新書)など。