今年の4月19日に初めてオンラインで開催した前回の「この日の学校」からはや半年。その際に森田さんがおっしゃった「これまでの世界が戻るのを待つのではなく、新しい世界へと踏み出すしかない」というメッセージを受け、ミシマ社も「MS Live!」(ミシマ社主催のオンラインライブ配信)がスタートするなど、この間大きな変化がありました。
緊急事態宣言下の京都と東京を繋ぎ、「人間いかに生きるべきか」を主題に甲野先生と対話した四月の「この日の学校」から気づけば半年が過ぎました。あれから本当にいろいろなことがありました。たった100nmの大きさのウイルスたちによって、僕たちはたくさんのことを学び、考えさせられています。
現代は、「大加速(the great acceleration)」の時代と呼ばれています。これは、人間の社会・経済活動が爆発的に増大し、これに地球システム全体が繊細に応答し始めた時代です。病原性のウイルスや、凶暴化する気候、あるいは汚染される海洋がもたらす未来の不確実性は、あまりに放縦な人間活動の「加速」の帰結でもあります。あらためて、人間とそれ以外を切り離して考える発想の機能不全に直面しながら、僕たち人間もまた、人間以外のすべての生命と深く混ざり合い、連続している存在であることを思い知らされています。
集中豪雨、猛暑、感染症拡大、台風……。まるで「災害の合間を縫って生きている」ような不穏な日々のなか、ただ対症療法的に目の前の不都合に蓋をするのではなく、地球環境を、これからも「住める」場所として営んでいくためには、人間とは何か、生きるとはどういうことか、といった根源的な問いに、あらためて正面から向き合っていく必要があります。何より、これまでの常識を縛ってきた人間中心的な視座を少しずつ解きほぐしながら、「生命」の一員として人間がまっとうな役割を果たしていく覚悟を決めていかなければならないのだと、いまあらためて強く感じています。
前回の「この日の学校」から半年経ったこのタイミングで、マスクや消毒、ワクチン等で当面の危機に蓋をするだけではなく、これからも地球環境を、人間やその他の生命が生き続けられる場所として営んでいくための「新しい生活」を確立していくために、いま僕たちに何ができるかを、甲野先生はじめ、当日参加されるみなさんとともに、模索していきたいと思います。
当日は、11月からオープンする僕の新しいラボ「鹿谷庵(ろくやあん)」から配信します。
11月22日、全国のみなさまとともに、言葉と思考を交わし合えることを、心から楽しみにしています。
森田真生(2020年10月1日)