2020.05.05更新
5/13(水)より、インタビュアーである木村俊介さんのオンライン講座を開催します。
開催にあたり、木村俊介さんよりメッセージをいただいております。今は、世の中が本当に大変な時です。感染症にまつわるニュースをチェックするなど、生きるために得る情報を吸収するだけでも、毎日、多くの方が忙しく、疲れてもいることだと想像します。外出もなかなかできず、不自由です。そうした疲れや不自由さは、感染症に対処し続ける生活が長期化するほど、澱のように溜まっていって、それぞれの方たちを追い詰めていくようにも感じます。そんな社会的な課題を前にして、本づくりの仕事をしている私たち(ミシマ社の皆さんと、木村俊介)に、何か精神的なサポートとして届けられることはないか、と相談しました。そんな中で、オンライン上の講座「本を読むということ」を開こうと企画したのです。……というと、「アウトプットに疲れている生活の中で、また、新しいアウトプットを増やすの?」と思われた方もおられるかもしれません。しかし、今というのは、情報吸収、在宅勤務、在宅学習などの多くを、動きの激しい動画やハデな画面を通しておこなっている時代でもあります。その負荷が大きい時期にこそ、いったん、言葉だけで形成された静かな「本」の中の世界だけに入ってみて、いつもよりも本をゆっくり読んでみるやり方について伝えてみる。そのことで、精神的に温泉に浸かるような「体温」や「潤い」を渡すことにもなるのではないだろうか。この講座の企画者たちは、そのように考えました。ミシマ社は、「一冊入魂」を大切にしてきた出版社です。その出版社と仕事をしてきた私(木村俊介)も、そこを重視して、ミシマ社の仲間たちと共同作業を続けてきました。そういう本づくりの当事者だからこそ、本に込められた「暗号」や「呪文」のような言葉の数々を、丁寧に「解読」や「解凍」していくやり方を伝えたい、と。入魂された本の中の世界というのは、ゆっくり深く読み込むことで、そこに込められた魂を再生させることができる、というわけです。言葉を書く時には、人は、いろんな要素をいわば「圧縮」します。それを読む時には、「解凍」が要ります。本の中に記された、ちょっとした言葉の中にこめられた質感も、丁寧に「解凍」すれば、自分の頭の中で豊かに再生できる。すると、本からは、画像などがない、言葉だけの世界であるがゆえに、呪文で封印されたような物凄いものさえ、受けとめるこちらの中で蘇生させられるのです。そこに、本の面白さの一つがある。そして、本の中のトンネルを潜り抜けた後には、少し落ち着いて座禅でもしたような気分にもなれるかと思います。そんな講座を目指します。木村俊介
※こちらの講座はZoomのウェビナー機能を使って配信致します。
※本講座は進行の際、参加者の方のお顔が見えることはございませんので、ご安心くださいませ。
Zoomイベントの参加方法の詳細はこちら。
ミシマ社 三島邦弘
① 5月13日(水)19:00〜21:00(休憩15分含む)
② 5月20日(水)19:00〜21:00(休憩15分含む)
③ 5月27日(水)19:00〜21:00(休憩15分含む)
【読む書籍】
『バンド』(クリープハイプ/ミシマ社)/『ディス・イズ・ザ・デイ』(津村記久子/朝日新聞出版)/『冷血』(トルーマン・カポーティ/新潮文庫)/『ねじまき鳥クロニクル』(村上春樹/新潮文庫)
※講座へは、上記書籍をお持ちでなくてもご参加いただけます。お読みになりたいという方はお近くの書店やオンラインストアでお買い求めください。
※ご都合で一部の回への参加が難しい方は、後日に、その分を録画動画にて受講いただくこともできます。ご希望の方は備考欄にてお知らせください。
インタビュアー。1977年、東京都生まれ。著書に『善き書店員』(ミシマ社)、『料理狂』(幻冬舎文庫)、『仕事の話』(文藝春秋)、『漫画編集者』(フィルムアート社)、『変人 埴谷雄高の肖像』(文春文庫)、『物語論』(講談社現代新書)、『「調べる」論』(NHK出版新書)、『仕事の小さな幸福』(日本経済新聞出版社)、聞き書きに『調理場という戦場』(斉須政雄/幻冬舎文庫)、『芸術起業論』(村上隆/幻冬舎)、単行本構成に『西尾維新対談集 本題』(講談社)、『海馬』(池谷裕二・糸井重里/新潮文庫)、『ピーコ伝』(ピーコ/文春文庫PLUS)、『イチロー262のメッセージ』シリーズ(ぴあ)などがある。