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【10月】森田真生・瀬戸昌宣「僕たちはどう学ぶか」&「学びの未来相談室」開設のお知らせ

2021.10.05更新

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これまで1年半にわたって開催してきた、森田真生さんと瀬戸昌宣さんととも週刊「学びの未来」(週1回)と「学びの未来 座談会」(月1回)。そのありかたが11月から変わります。「学びの未来相談室」、およびに「書籍化コミュニティ」がスタート。それに先がけて10/31(日)には、これまでより開かれたかたちで森田さんと瀬戸さんの対談「僕たちはどう学ぶか」を開催します。詳細は下記をご覧いただけましたら幸いです。ご参加お待ちしております。
 
これまでの「学びの未来」の活動を振り返った、「学びの未来のこれまでとこれから」はこちら。また、これまでの座談会を重ねるなかでキーワードとして出てきた「学習権」をめぐる対話はこちらからお読みいただけます。
 
 

オンラインライブイベント配信日時

【学びの未来 座談会「僕たちはどう学ぶか」】
10月31日(日)14:00〜17:00(告知詳細、参加チケットはこちら
※今回のイベントの参加は有料です。が、よりよい学びの未来を実現していくために思考を分かち合える一人でも多くの方と出会いたいと思っています。今回の参加費のハードルが少し高すぎると感じられた方も参加ができるように、無料の参加枠を数名分用意しました。特に、学びの未来についての真剣な議論と対話に参加してみたい学生さんや、ご本人もしくはお子さんが「学校に行かない」という選択をして、学校以外の学びの可能性をいま模索している生徒さんや親御さんなど、有料チケットはハードルが高いが、この座談会に是非とも参加してみたいという熱い思いをお持ちの方は、以下のリンクよりご一報ください。その際に、学びの未来について現在考えていること、座談会で問うてみたいことなどありましたら、一言添えていただけるとありがたいです。常に制度に「別の可能性」の穴を作っておきたいと思っていて、今回の無料枠はその試みの一つになります。ご縁を楽しみにしています。
 
【週刊「学びの未来」(月4回開催)】
10月5日、12日、19日、26日(毎週火曜12:00〜13:00)
※こちらの週刊「学びの未来」10月いっぱいまでの開催になります。これからご参加くださる方は「学びの未来メンバーズ」よりご参加くださいませ。
※1カ月のアーカイブ視聴が可能です。
 

「僕たちはどう学ぶか」開催によせて(森田真生)

近代の学校制度が、初期の縫製工場とほぼ同じ時期に発明されたことを思い出してほしい。学校も工場も、一つの屋根のもとに人員を集結させた。どちらも管理と評価を容易にするために、時間についての厳しい規律と細分化されたタスクを生み出した。両者はいずれも、信頼できる標準化された生産物を作り出すことを目指していたのだ。
――James Scott "Two Cheers for Anarachism" 

 現代の日本に生まれてくると、人生の少なからぬ時間を「教室」という場所で過ごすことになります。清潔に保たれ、雨や風にさらされることなく、人間だけが集い、決められた時間と順序の通りに物事が進行していく空間。ここでは標準的な「わかりかた」を想定して授業が進められ、「わからない」ことは「わかる」までの一時的な停滞として、できる限り速やかにそこから抜け出すことが要求されます。

 教室という空間には、「世界」に対する、人間の暗黙の願望やイメージが投影されているのではないでしょうか。人間が構築する知的世界を、複雑な環境から切り離し、清潔に、安全に保つことができるということ。正しい順序で一つずつ知を積み重ねていけば、次第に複雑な「問題」を「解決」する技術が身についていくはずだということ。何より、「わかる」ことこそ知であり、「わからない」ことは、「わかる」の欠如でしかないということ……。こうした教室のなかで上演される世界のイメージはしかし、教室の外で進行する現実と激しく乖離しています。

 僕たちが生きる地球生命圏には人間でない様々な生物種がいます。人間の暮らしに鳥や獣やキノコやウイルスが侵入してくることを防ぐことはできません。予告なく熱波や豪雨がやってきて、地震が起こり、草が生え、虫たちが飛び交い、そうした自分でないものたちの賑わいにまみれ、侵され、もつれあい続けるほかに、僕たちが現実のなかで思考する方法などないのではないでしょうか。

 切実な問題の多くはそもそも、明確な解決の方法がありません。だからこそ、曖昧さと不確実さのなか、問題とともに生き、これと付き合い続けることが必要になります(精神科医の帚木蓬生はこうした人間の力を、詩人ジョン・キーツの言葉を借りて「ネガティブ・ケイパビリティ」と呼んでいます)。性急にわかろうとするより、わからなくても感じ続けること。「解決」できる「問題」へと事態を矮小化させないことが、これまでの常識が大きく揺らぐ時代に、ますます重要になってくるはずです。

 『くらしのアナキズム』(ミシマ社)で著者の松村圭一郎がアメリカの人類学者ジェームズ・スコットらの著書を参照しながらくり返し指摘しているように、あらゆる制度は、制度を順守し、ただ服従するものたちによってではなく、むしろそこから逸脱し、ずらし、崩していく人たちの試みによって育まれてきました。学校をはじめとした教育の制度もまた、これを豊かに育てていくためには、既存のルールに執着するだけでなく、惰性に身を委ねるだけでなく、そもそも学校に行くのか行かないのかの選択を含めて、子どもたちがより多様な逸脱と抵抗の方法を選択できるように環境を整えていく必要があります(そもそも、ジェームズ・スコットが冒頭で引用した著書のなかで指摘している通り、出席することが選択でも自律的な行為でもなく強制なのだとしたら、現代の義務教育は制度として「出だしから根本的に間違っている」のかもしれません)。

 学校外での学びの場を作ることに並々ならぬ情熱を傾けてきた瀬戸昌宣さん(現在は福岡県福津市在住)とともに、ミシマ社に主催していただく形で、昨年の春から「学びの未来」というプロジェクトが始動しました。新型コロナウイルス感染症の拡大とともに、全国で一斉休校が広がり、「止められない」「変えられない」と信じられてきた学校システムがにわかに停止してしまったとき、子どもたちの学ぶ権利が奪われ、教育が機能不全に陥っていく現実を目の当たりにしながら、僕は学びを、これまでの習慣や惰性から解き放つチャンスがあるとすれば、いましかないと強く確信しました。やむにやまれぬ思いに突き動かされるように、そこから毎週、何十回にもわたる対話を瀬戸さんや、プロジェクト参加者のみなさんとともに重ねてきました。いま、これまで重ねてきた一年半の対話を、さらに多くのみなさんと分かち合えるように開くべきタイミングが来たと感じています。

 人間を含むすべての生物種と共存しながら、いかにすればこの地球環境を、居住可能な場所として営んでいけるか。これが現在僕たちが直面している最も緊急の課題です。とすれば、子どもたちが、人間しかいない場所で日常の大部分を過ごさざるを得ない状況は、それ自体大きなリスクではないでしょうか。9月に刊行された新刊『僕たちはどう生きるか 言葉と思考のエコロジカルな転回』(集英社)のなかで、僕は上のような問いかけを読者のみなさんに投げかけました。そして、人間主導の学びから、環境に導かれた学びへの「転回」を遂げていくために、「校庭ジャングル」や「依存関係のマッピング」など、瀬戸さんとの対話のなかから育まれてきたいくつかの具体的なアイディアを提案しました。

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『僕たちはどう生きるか 言葉と思考のエコロジカルな転回』(集英社)

 10月31日のイベント「僕たちはどう学ぶか」ではあらためて、この一年半の対話を踏まえ、これからの時代、僕たちはどう学ぶのか、学びと教育を取りまく既存の制度が壊れていく先に、どのような学びの未来を描くことができるのか、みなさんとともに考えていきたいと思います。

 校庭が、多様な生き物たちで賑わうジャングルでないのはなぜか。校舎が、あらゆる生物種の共存と共生を実現するための、科学と思想の融合する実験場でないのはなぜか。教室が子どもたちとともに未来を育む場所だとするなら、教室こそこの世で最もワクワクする場所であっていいはずです

 比較的安定した地球環境を所与として、そのなかで人間同士が互いに競い合うことができる時代は終わりました。もはや時代と噛み合わなくなってしまった制度は、ずらし、崩し、遊び、逸脱しながら、より寛容で解放的で、しなやかな制度へと、蘇らせていかなければなりません

 トップダウンの大胆な「改革」よりも、すべての人が学びと教育の主体として、それぞれの場所で具体的な抵抗を始めていくのです。ずらし、崩し、ほどき、遊ぶ……。10月31日(日)「僕たちはどう学ぶか」、ともにここから始まる新たな実験に、参加してくださるみなさんとの出会いを心から楽しみにしています。

2021年10月5日 森田真生

 

「学びの未来相談室」を開室します!

この11月より「学びの未来 相談室」を開室いたします。
これまで1年半、森田さん、瀬戸さんとともに「学びの未来」についての対話を重ねるなかで、「学校」という枠にとらわれない、さまざまな「学びの可能性」がみえてきました。(詳しくは「学びの未来のこれまでとこれから」をご覧ください)
 
そしてこのタイミングで、これまでの思考をさらに掘り下げ、現場の声を聴き、ともに思考する時間をとれたらと思っております。
 
この春には「宿題が多くて困っている」という切実な声から、「先生と生徒の対話」、さらには「学習権」の話にまで視座が広がりました。(詳しくは「学習権をめぐる対話」をご覧ください)
このように、いま学びの現場でどんなことに悩み、どんな思いをかかえ試行錯誤しているのか、をシェアすることから、新しい学びの風景がひらかれていきます。
 
どんなちいさなこと、ささいなことでもかまいません。
学びの場で感じた違和感や悩み、こうなったらいいのに、という思いをこちらにお寄せください。
 
森田さんと瀬戸さんとともに悩むなかで、これまで声にできなかった声、言葉にならなかった思いを、形にしていける場にできたらと思っています。
 
開室日は、月に2回(火曜日の12:00〜)。毎回1時間に4組ほど、少人数の空間で言葉を交わします。ご参加いただく方には、ミシマ社よりご連絡差し上げます。ご参加お待ちしています(参加費はかかりません)。
 
お申し込みはこちら
 

「書籍化コミュニティ」がはじまります!

11月より始まる「学びの未来 相談室」をはじめ、「学びの未来」のありかたが変わります。
これまでの月4回森田さんと瀬戸さんの対話を聴いていただく、というかたち(週刊「学びの未来」)ではなく、月2回「学びの未来 相談室」、月2回「書籍化へ向けての対話」というかたちになります。(どちらも火曜12:00〜13:00)
 
これまでの「学びの未来メンバーズ」が、そのまま「書籍化コミュニティ」になりますので、すでに「週刊 学びの未来」でご参加の方で、もし「書籍化に携わりたい!」という方は、来月よりぜひ「書籍化コミュニティ」のほうへ移行していただけましたら幸いです。
 
先日の座談会を経て(めちゃくちゃ白熱しました!)、いまのところの仮タイトルは、『僕たちはずっと学び方を間違えていたのかもしれない(仮)』となっており、これから対話を重ねるなかで、変わっていくことになるかもしれません。
本づくりは本当に楽しく、そのプロセスをご一緒できたらと思っております。
 
本の奥付にも、ご参加いただいている皆さまのお名前を掲載させていただきます。
こちらのお申し込みは10月31日(日)までとなります。
ご参加お待ちしております。
 
 

「書籍化コミュニティ」ご参加方法

下記をクリックして、「学びの未来 メンバーズ」のプランよりご参加ください。(11月よりコミュニティ名が「書籍化コミュニティ」になります。)

「学びの未来」オンラインコミュニティ(note)

◉「学びの未来」書籍化コミュニティ【8,000円(税込)/月】
森田真生さん、瀬戸昌宣さんと対話を重ねてきた「学びの未来」の本づくりをともにするオンラインコミュニティです。メンバーは、月2回「学びの未来 相談室」、月2回「書籍化へ向けての対話」(どちらも火曜12:00〜13:00)、そして月末の「学びの未来座談会」にご参加いただけます。また、本づくりのプロセスをご一緒します。本が完成した際には、奥付にお名前を掲載させていただきます。
 
 
※ noteのアカウントをお持ちでない方は、「会員登録」をお願いいたします。(5分程度でできます)
※ サークルのメンバーになっていただくと、これまでのように毎月チケットを買う必要がなく自動更新ができます。

出演者プロフィール

森田真生(もりた・まさお)
1985年生まれ。独立研究者。2020年、学び・教育・研究・遊びを融合する実験の場として京都に立ち上げた「鹿谷庵」を拠点に、「エコロジカルな転回」以後の言葉と生命の可能性を追究している。2015年10月、デビュー作『数学する身体』(新潮社)で第15回小林秀雄賞を受賞。2016年に『みんなのミシマガジン×森田真生 0号』(ミシマ社)、編著として数学者・岡潔の選集『数学する人生』(新潮社)、2018年10月に絵本『アリになった数学者』(絵・脇阪克二/福音館書店)、2019年3月に初の随筆集『数学の贈り物』(ミシマ社)、2021年4月に『計算する生命』(新潮社)、同年9月に『僕たちはどう生きるか  言葉と思考のエコロジカルな転回』(集英社)を刊行。2019年11月より、WEBマガジン「みんなのミシマガジン」にて、「聴(ゆる)し合う神々」を連載している。
 
公式ウェブサイト→ Choreograph Life
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瀬戸昌宣(せと・まさのり)

NPO法人SOMA代表理事
米国コーネル大学にて博士号を取得、同大学で研究と教育に従事。2016年、高知県土佐町で中山間地域の教育に参画。2017年にNPO法人SOMAを設立、「ひとが育つ環境をととのえる」をミッションに学びの環境づくりに取り組む。主催する教育プログラムi.Dare(イデア)は、2019・2020年度、経済産業省「未来の教室」実証事業に採択された。福岡県在住。
2021年度より経済産業省 産業構造審議会 教育イノベーション小委員会委員、高知大学大学院講師。高知県起業支援事業 Kochi Startup Parkメンター。ミシマ社より、週刊「学びの未来」と月例「学びの未来 座談会」を独立研究者・森田真生氏と配信中。

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